[書評] 最短突破 AWS認定 クラウドプラクティショナー 合格対策テキスト+問題集
はじめに
こんにちは、アノテーションのやまとです。
私は AWS 認定クラウドプラクティショナー試験 (CLF) を受けてきて、合格しました。その学習教材として『最短突破 AWS 認定 クラウドプラクティショナー 合格対策テキスト+問題集』を使用しました。本記事では、この書籍の内容と試験合格までの道のりや感想を紹介していきたいと思います。
書籍情報
最短突破シリーズ
AWS認定 クラウドプラクティショナー 合格対策テキスト+問題集
2024年6月22日発売
著者 深澤俊、大瀧隆太
出版社 技術評論社
技術評論社の書籍サイトの概要から一部抜粋
AWS認定クラウドプラクティショナーはAWS認定資格の中で最も基礎的な資格となっていますが,クラウドの基礎的な知識から,AWSクラウドの数多くのサービスまで,幅広い知識が求められます。本書では,初めてクラウドについて学ぶ読者にも安心の解説がついたテキストに,理解度を確認するための問題集もついています。
こんな方におすすめ
- AWS認定クラウドプラクティショナー受験者
- 1冊で合格したい人
- 実務に役立つ生きた知識を学びながら資格勉強をしたい方
私自身のバックグラウンド
- 2024年4月の入社まで、専門的なIT分野は未経験の文系学生でした。
- 入社後は、まず IT パスポートを取得し、その後基本情報技術者試験の学習も並行して進めていました。
- AWS に関してはこれから学習を始めていく程度の初心者でした。
このような背景でも、本書を通じて AWS の基礎を効果的に学ぶことができました。
第1章 AWS 認定クラウドプラクティショナーについて
本章では、CLF 試験の全体像を詳細に解説しています。試験の構成、出題分野、そして各分野の重要な視点について明確に説明されており、学習の方向性を定める上で非常に有益でした。
学習に役立った点:
- 各出題分野 (クラウドの概念、セキュリティ、テクノロジー、請求と料金) の詳細な内訳
- 合格に必要なスコアと、それを達成するための戦略的アプローチ
この章を読むことで、試験に向けた学習計画を立てることができました。
第2章 AWS とは
ここから本格的に CLF の学習内容に入っていきます。本章は、読者の前提知識レベルを問わずにクラウドやサーバなどの基礎の概念から丁寧に解説してあります。
印象的だったのは、オンプレミスとの違いをクラウドの利点から具体的に説明している点です。例えば、ビジネスにクラウドを活用することで、初期投資を抑えつつ成長に対応できる柔軟性のあるスモールスタートができるといった実践的な例示が分かりやすかったです。
また、AWS のグローバルインフラストラクチャについても紹介されており、後の章でより詳細に学ぶ内容の理解に役立てることができました。
第3章 AWS サービス紹介
本章は、AWS の主要サービスを体系的に紹介しています。サービスがカテゴリー別 (コンピューティング、ストレージ、データベース、ネットワーキングなど) に整理されており、全体像を把握しやすい構成になっています。
特に役立った説明:
-
ELB (Elastic Load Balancing) の詳細な機能紹介
- Application Load Balancer と Network Load Balancer の説明
- EC2 Auto Scaling の機能紹介
-
Amazon RDS と Amazon Aurora の比較
- 管理、パフォーマンスの違い
- それぞれの適したケースの比較
-
データベース移行サービス
- AWS Database Migration Service (DMS) と AWS Schema Conversion Tool (SCT) の役割の違い
- オンプレミスからクラウドへの移行プロセスの流れ
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S3 のストレージクラス比較
- 標準、標準 - 低頻度アクセス (IA) 、Glacier、Intelligent-Tiering などの各クラスの特徴
- Intelligent-Tiering とライフサイクル設定の管理方法の違い
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EBS (Elastic Block Store) とインスタンスストアの解説
-
アプリケーション統合サービス
- Amazon SQS (Simple Queue Service)、SNS (Simple Notification Service)、EventBridge の役割
- 疎結合の説明のコラム
各サービスの説明には、単なる機能紹介にとどまらず、構成図や他サービスとの連携、リソースの説明まで踏み込んで解説されており、理解を深めるのに非常に役立ちました。
第4章 AWS の管理
本章では、AWS の管理面に焦点を当てており、特にセキュリティと料金管理に関する詳細な解説が印象的でした。
特に役立った説明:
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AWS Identity and Access Management (IAM)
- ユーザー、グループ、ロールの概念
-
監視・監査サービス
- Amazon CloudWatch、AWS CloudTrail、AWS Config などの監視・監査サービスの役割と特徴
-
セキュリティサービス
- 脆弱性対策やネットワークセキュリティ用サービスの特徴と使用ケース
-
EC2 インスタンスの料金体系
- オンデマンド、リザーブド、スポットインスタンスの比較
- コスト最適化のためのベストプラクティス
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料金管理サービス
- AWS Budgets、Cost Explorer の活用方法
- コスト予測と最適化のための戦略
-
AWS サポートプラン
- ベーシック、デベロッパー、ビジネス、Enterprise On-Ramp、エンタープライズの各プランの特徴とサポート内容
AWS は管理やセキュリティのサービスを幅広く取り扱っています。これらの説明を段落末尾に一目で分かるようまとめているため、効率的に復習することができて、学習に役立ちました。
また、料金管理に関しては、単なるサービス紹介にとどまらず、長期的なコスト最適化戦略まで踏み込んだ解説がなされており、ビジネスでの考慮事項も学ぶことができました。
第5章 AWS の計画と活用
本章では、AWS を効果的に活用するための戦略的フレームワークについて詳しく解説されています。
特に役立った説明:
-
責任共有モデルについて
- AWS とお客様の責任範囲の明確な区分
-
クラウド導入フレームワーク (CAF)
- トランスフォーメーション、パースペクティブ、フェーズについて
- 各視点における主要な考慮事項とアプローチ
- 組織のクラウド成熟度評価と改善計画の立て方
-
AWS Well-Architected Framework
- 運用上の優秀性、セキュリティ、信頼性、パフォーマンス効率、コスト最適化、持続可能性の6つの柱について
- 各柱におけるベストプラクティスと設計原則
この章で解説されたクラウド導入フレームワークの各アプローチは、クラウドを活用する上で重要な意思決定プロセスを理解するのに非常に有益でした。コスト、時間、リスク、ビジネス価値などの要素を考慮し、最適な移行戦略を選択する方法について学ぶことができました。
また単なる技術的視点の知識だけでなく、クラウド導入に伴う組織的で戦略的な考慮事項を深く掘り下げています。特に印象的だったのは、各フレームワークや戦略をビジネスの観点から結びつけて説明している点です。これにより、試験対策だけでない AWS 理解に必要な知識を得ることができました。
第6章 ハンズオン
ハンズオンの内容:
- AWS アカウントのセットアップ
- ルートユーザーの MFA の設定
- VPC の構築
- サブネットの設計と作成
- ルートテーブルとインターネットゲートウェイの設定
- セキュリティグループの構成
- EC2 インスタンスの起動
- Web サーバーの構築
本章は、理論を実践に移す機会を提供しています。実際の AWS 環境で手を動かすことで、これまでに学んだ概念をより深く理解することができました。
第7章 問題集
本章は、学習の総仕上げとして重要な役割を果たしています。全63問の問題は、試験準備の最終段階において非常に有効でした。私はいくつかの CLF 模擬問題集を解きましたが、この問題集は個人的に公式問題集に近い難易度だと感じました。また、問題の出題傾向を把握するため、この章から学習を始めました。
活用方法:
- まず全問題を一通り解いて、自分の弱点領域を特定
- 間違えた問題や自信のない分野を重点的に復習
- 関連する AWS のブログを参照し、理解を深化
- 再度全問題に挑戦して復習を繰り返す
このアプローチにより、単なる暗記ではなく、AWS の概念や仕組みを体系的に理解することができました。特に、ブログなどの他の学習リソースとの併用は、詳細な情報や実際のユースケースを知る上で非常に有効でした。
試験を受けてみての感想
試験結果:スコア790点 (合格)
学習期間:約2週間
振り返り:
- AWS のサービスや責任共有モデルについては十分に理解できていたと感じました。
- クラウド導入フレームワーク (CAF) やビジネス戦略に関する分野は、もう少し深く学習する必要があったかもしれません。
学習アプローチ:
- 最初の5日間は本書を中心としたインプットに集中
- その後は AWS Skill Builder の公式問題集や Udemy の模擬試験を活用
- 誤答した問題を重点的に復習し、関連する概念を深掘り
CLF 試験の特徴として、AWS のサービスやクラウドの概念、料金体系などの基本的な理解が重要です。本書は、これらの要素を効果的にカバーしており、一冊で必要な知識を網羅できました。
ただし、合格のためには問題演習を繰り返すことが不可欠です。様々な出題パターンに慣れ、時間配分の感覚を養うためにも、本書の問題集に加えて、他の問題集も活用することをお勧めします。
他に使用したおすすめ学習コンテンツ
-
AWS Cloud Practitioner Essentials (日本語)
- AWS の基礎を体系的に学べる公式コース
- ビデオレッスンと実践的な演習を通じて、主要な概念を効果的に理解
-
AWS Certified Cloud Practitioner Official Practice Question Set (CLF-C02 - Japanese)
- AWS 公式の模擬問題集
- 実際の試験の難易度や出題傾向を把握するのに最適
AWS 公式のコンテンツは、最新の情報や実際の試験傾向を反映しているため、非常に有用でした。
特に良かった点
各チャプターの段落のまとめが読み返すのに便利でした。
最後に
『最短突破 AWS 認定 クラウドプラクティショナー 合格対策テキスト+問題集』は、AWS 初心者の私にとって価値のある学習リソースでした。技術的な用語 (デプロイ、スケーリングなど) についての解説も記載されており、IT 業界未経験者にも配慮されていて、大変親切だと感じました。
また、各章にあるコラムは、学んだ内容をより深く理解するのに役立ちました。これらの特徴により、本書は単なる試験対策だけでなく、実務でも即座に活用できる参考書となっています。
基礎的な概念の復習や、より高度な AWS 認定試験 (例:ソリューションアーキテクトアソシエイト) の学習の足がかりとしても非常に有用だと感じたので今後も、私はこの教材を参照し続けようと思います。
本書を基礎として、公式ドキュメント、ハンズオン実践、コミュニティへの参加など、多角的なアプローチで学習を続けることが、クラウドサービスの理解につながると確信します。
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